The Kitchen Sink(キッチンシンク)は、Zwiftのワークアウト一覧「30-60 minutes to burn」に入っている55分のワークアウトです。持久走の中に110rpmの高回転ドリルや90%FTPの4分×2本が組み込まれていて、短い時間でいろいろな刺激が入る構成になっています。
ただし、Zwiftで使える「Kitchen Sink」という名前のワークアウトは1つではありません。中身がまったく違う版が少なくとも3つあります。この記事では、Zwift標準版(55分)の構成、きつさ、走り方を中心に、TRI247版(1時間4分)とGC Coaching版(2時間)との違い、使い分けを解説します。
The Kitchen Sinkのポイント
- Zwift標準版は55分・ストレスポイント54。Zwiftの説明では「持久系のセッション」で、テーマはペダリング効率と高いケイデンス
- 中身は、110rpm・85%FTPの1分を計8本、100rpm・90%FTPの4分を2本、100%FTPの3分を1本など
- 同じ名前のTRI247版(1時間4分)はSST・オーバーアンダー・VO2max・無酸素の全部入り、GC Coaching版(2時間)は長めの週末向けメニュー
- 標準版はZwiftにそのまま入っている。ほかの2つはワークアウトファイルを取り込んで使う
The Kitchen Sinkとは?名前は「何でも入り」の意味
「kitchen sink(台所の流し)」は、英語で「何でもかんでも詰め込んだ」ことを表すときに使われる言い回しです。TRI247版を配信したZwiftのイベントページでも、「いろいろなものを全部投げ込んだから『The Kitchen Sink』という名前にした」と説明されています。
Zwift標準版が入っている「30-60 minutes to burn」は、30〜60分のワークアウトを集めたコレクションです。同じコレクションには、Jon’s MixやThe Wringerも入っています。
標準版は、2024年9月に始まったZwiftのミニチャレンジ「Cardio Crusher」の最後の1本としても使われました。Cardio Crusherは5本のワークアウトを走るチャレンジで、15分の「Make It Sting」から1本ごとに10分ずつ長くなり、5本目がThe Kitchen Sink(55分)です。完了すると1000XPがもらえる仕組みでしたが、のちに2025年2月28日という期限が設けられました。
「Kitchen Sink」は3つある|標準版・TRI247版・GC Coaching版の違い
Zwiftで「Kitchen Sink」を探すと、次の3つが見つかります。名前は同じでも、長さも強度もまったく違います。
| Zwift標準版 | TRI247版 | GC Coaching版 | |
|---|---|---|---|
| 正式な名前 | The Kitchen Sink | The Kitchen Sink | E/T/LT/A: Kitchen Sink |
| 所要時間 | 55分 | 1時間4分 | 2時間 |
| ストレスポイント | 54 | 75 | 132 |
| 中心になる中身 | 110rpmの高回転ドリル、90%FTP×4分×2本 | SST、オーバーアンダー、VO2max、無酸素 | 100%FTP×10分×2本、テンポ中の120%バースト、120%×1分×5本 |
| いちばん高い強度 | 110%FTP(40秒・20秒) | 160%FTP(15秒) | 120%FTP(20秒〜1分) |
| 考案者 | 表記なし(Zwift標準) | John Levison(TRI247) | Shayne Gaffney(GC Coaching) |
| Zwiftでの使い方 | ワークアウト一覧から選ぶだけ | ワークアウトファイル(.zwo)を取り込む | ワークアウトファイル(.zwo)を取り込む |
TRI247版とGC Coaching版は、ユーザーやコーチが作った「カスタムワークアウト」です。Zwiftのワークアウト一覧には入っていないので、使うときはワークアウトファイル(.zwo)をダウンロードして、Zwiftに取り込む必要があります。
Zwift標準版(55分)の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所要時間 | 55分 |
| ストレスポイント(Zwift上の負荷指標) | 54 |
| ゾーン別の時間 | Z1:17分/Z2:15分/Z3:11分/Z4:12分/Z5:1分(Z6はなし) |
| ケイデンス指定 | 110rpm(85%FTP)の1分を計8本、100rpm(90%FTP)の4分を2本。間のレストは85rpm |
| 90%FTP以上の時間 | 合計12分30秒(100%×3分、90%×4分×2本、110%×40秒と20秒など) |
| 収録 | ワークアウト一覧「30-60 minutes to burn」 |
Zwiftの説明文では、このワークアウトは「持久系のセッションで、ペダリング効率を高めるのに向いた日」とされています。好みより高いケイデンスで回すことで、心肺の持久力に意識を向ける、という狙いです。
Zwift標準版のメニュー構成
55分の中身を、ブロックごとに整理しました。
| ブロック | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| ウォームアップ | 50%→56%→63%(各1分)→69%→75%(各30秒) | 4分 |
| 最初の刺激 | 55%×1分 → 110%×40秒 → 55%×1分 | 2分40秒 |
| ビルドアップ | 60%から90%まで30秒ごとに6%ずつ上げる → 100%×3分 → 55%×2分 | 8分 |
| ① 高回転ドリル | 110rpm・85%×1分 → 85rpm・50%×1分 を6回 | 12分 |
| ② ピラミッド | 60%→65%→70%→75%→80%(各1分)→ 110%×20秒 → 80%→75%→70%→65%→60%(各1分) | 10分20秒 |
| ③ 90%×4分×2本 | 100rpm・90%×4分 → 85rpm・65%×1分 を2回 | 10分 |
| ④ 高回転ドリル | 110rpm・85%×1分 → 85rpm・50%×1分 を2回 | 4分 |
| クールダウン | 75%×1分 → 55%×3分 | 4分 |

FTP別の目標ワット数(例)
%FTPをワットに直すと、次のようになります(小数点以下は四捨五入)。Zwiftは設定したFTPから目標パワーを計算するので、FTPが正しく設定されていることが前提です。
| FTP | 85%(高回転ドリル) | 90%(4分×2本) | 100%(3分) | 110%(短い刺激) |
|---|---|---|---|---|
| 150W | 128W | 135W | 150W | 165W |
| 200W | 170W | 180W | 200W | 220W |
| 250W | 213W | 225W | 250W | 275W |
| 300W | 255W | 270W | 300W | 330W |
どれくらいきつい?強度の目安
ストレスポイント54は、同じ「30-60 minutes to burn」に入っているJon’s Mix(54分20秒・71)や、SST (Short)(50分・66)より低い数字です。55分のうち32分はZ1〜Z2で、高強度インターバルのように追い込むワークアウトではありません。
それでも楽なだけではありません。きつく感じやすいのは、次の2か所です。
- 10分前後の100%FTP×3分:ウォームアップから30秒ごとに上げていった流れのまま、FTPで3分続きます
- 後半の90%FTP×4分×2本:100rpmの指定つきで、間のレストは65%FTPの1分だけです。90%FTPは、FTPの88〜94%とされるSST(スイートスポット)の範囲に入ります
SSTの考え方はSSTとは?心拍数・パワーの目安とFTPを上げる効果で詳しく解説しています。
Zwift標準版を走るときのコツ
最初の15分:100%×3分で飛ばしすぎない
ウォームアップのあと、40秒の110%と、60%から90%までのビルドアップを経て、100%FTPの3分に入ります。ここで出力を上げすぎると、後半の90%×4分がつらくなります。ERGモードなら目標パワーに任せて、呼吸を整えることに集中しましょう。
①④ 110rpmドリル:負荷は軽く、回転は速く
高回転ドリルのパワーは85%FTPで、きつさの中心はパワーではなく回転数です。ERGモードでは、ケイデンスを上げるとトレーナーが負荷を下げて、目標パワーを保ちます。110rpmでは1回転ごとの踏む力は小さくなるので、ペダルを踏みつけるより、円を描くように回す意識で走ります。
回転を上げるとお尻がサドルの上で弾みやすくなります。弾むようなら少しだけ回転を落として、上半身をリラックスさせてから110rpmに戻すと安定しやすくなります。
② ピラミッド:1分ごとに少しずつ上げて下げる
60%から80%まで1分ごとに5%ずつ上げ、頂点で110%を20秒だけ入れてから、同じ段を下りていきます。ケイデンスの指定はないので、自分が回しやすい回転数で構いません。後半の4分×2本に向けて、ここで脚を使い切らないようにします。
③ 90%×4分×2本:100rpmで一定に
後半の山場です。100rpmの指定があるので、ドリルで練習した「軽めのギアで速く回す」感覚のまま、4分間一定に踏みます。間のレストは1分しかないので、止まらずに回しながら呼吸を整えましょう。
ERGモードの「回転落ち」に注意
ERGモードでは、回転が落ちるほど負荷が上がります。疲れてケイデンスが落ちると、そのままペダルが重くなって回せなくなることがあります。90%×4分の終盤で回転が落ちてきたら、軽いギアに変えて回転を戻しましょう。
TRI247版(1時間4分)の中身
TRI247版は、トライアスロン向けのメディアTRI247が水曜日に開催していたZwiftのグループワークアウトシリーズの1回として作られたものです。作ったのはTRI247のエディター、John Levison氏で、イベントページでは「閾値、スイートスポット、オーバーアンダー、VO2max、少しの無酸素まで、いろいろ混ぜた」と紹介されています。
| ブロック | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| ウォームアップ | 45%→75%FTPへ徐々に上げる | 5分 |
| スプリント | 120%×15秒 → 50%×50秒 を5回 | 5分25秒 |
| SST | 92%×6分 → 50%×3分 | 9分 |
| オーバーアンダー | 110%×40秒 → 90%×1分 を3回 → 60%×3分。これを2セット | 16分 |
| VO2max | 115%×1分 → 50%×1分 を5回 → 50%×2分 | 12分 |
| 無酸素 | 160%×15秒 → 50%×45秒 を4回 → 50%×2分 | 6分 |
| SST | 88%×5分 | 5分 |
| クールダウン | 75%→45%FTPへ下げる | 5分35秒 |
ストレスポイントは75で、ゾーン別の時間はZ1:24分/Z2:11分/Z3:5分/Z4:12分/Z5:9分/Z6:2分です。標準版と比べると、FTPを超える区間がずっと多いワークアウトです。1分のVO2max区間の考え方はVO2maxインターバルはどれが効く?も参考にしてください。
GC Coaching版(2時間)の中身
GC Coaching版は、コーチのShayne Gaffney氏(GC Coaching)が作った2時間のワークアウトで、名前は「E/T/LT/A: Kitchen Sink」です。メインセットの最初と最後に100%FTPの10分を置き、その間に65%FTPの15分をはさみながら、強度の違うブロックを並べています。
| ブロック | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| ウォームアップ | 60%→68%→75%→83%→90%(各2分)→ 55%×2分 → 120%×30秒と55%×30秒を3回(説明では110rpm以上の「スピンアップ」) | 15分 |
| FTP | 100%×10分 | 10分 |
| 回復 | 65%×15分 | 15分 |
| テンポ+バースト | 75%×3分 → 120%×20秒 を6回 | 20分 |
| 回復 | 65%×15分 | 15分 |
| 1分インターバル | 120%×1分 → 55%×2分 を5回 | 15分 |
| 回復 | 65%×15分 | 15分 |
| FTP | 100%×10分 | 10分 |
| クールダウン | 40%×5分 | 5分 |
ストレスポイントは132で、ゾーン別の時間はZ1:19分/Z2:1時間9分/Z3:2分/Z4:22分/Z6:9分です。2時間のうち1時間以上がZ2なので、Z2トレーニングの中にFTPと短い高強度を入れた、長めのメニューといえます。
3つの使い分け:平日は55分か64分、週末は2時間
| こんな日 | おすすめの版 | 理由 |
|---|---|---|
| 平日・1時間以内で軽めに | Zwift標準版(55分) | ストレスポイント54。高回転ドリルでペダリングを練習しながら、90%FTPの4分×2本も入る |
| 平日・1時間ほどでしっかり追い込みたい | TRI247版(1時間4分) | SSTから160%FTPまで、1時間でひととおりの強度が入る |
| 週末・時間がたっぷりある | GC Coaching版(2時間) | Z2の時間が長く、FTPの10分×2本と短い高強度も入る |
TRI247版は高強度の区間が多いので、The WringerやThe Gorbyのような高強度インターバルの日と続けて入れないほうが、それぞれの練習の質を保ちやすくなります。SSTの日を別に入れたい場合は、同じ週にHalvfemsのような90%FTP中心のメニューを組み合わせる方法もあります。目的別のワークアウト選びはZwiftおすすめワークアウト12選にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. 読み方は?
A. 「ザ・キッチンシンク」です。kitchen sinkは「台所の流し」のことで、英語では「何でも詰め込んだ」という意味の言い回しにも使われます。
Q. Zwiftのどこにありますか?
A. 標準版は、ワークアウト一覧のコレクション「30-60 minutes to burn」に入っています。TRI247版とGC Coaching版は一覧には入っていないので、ワークアウトファイル(.zwo)を取り込んで使います。
Q. Cardio Crusherのチャレンジは今も参加できますか?
A. Cardio Crusherには2025年2月28日という期限が設けられていました。チャレンジに参加しなくても、標準版のThe Kitchen Sink自体は「30-60 minutes to burn」から走れます。
Q. 初心者でもできますか?
A. 標準版はストレスポイント54で、55分のうち32分はZ1〜Z2です。高強度インターバルより取り組みやすい構成ですが、100%FTPの3分と90%FTPの4分×2本は入っています。FTPを測ったことがない場合は、FTP測定方法を比較|Zwiftランプテストと20分テストのやり方を参考に、先にテストをしておきましょう。FTPの意味はFTPとは?1時間維持できるパワーの意味と測り方で解説しています。
Q. ERGモードはオンとオフのどちらがいいですか?
A. 標準版はケイデンスの指定が多いので、ERGオンなら回転数に合わせることだけに集中できます。オフにすると、ケイデンスが変わるたびにギアでパワーを合わせ直す必要があり、難しさが上がります。初めてならオンで走るのがおすすめです。
Q. The Kitchen SinkでFTPは上がりますか?
A. The Kitchen Sink単体でFTPがどれだけ上がるかを示したデータは確認できませんでした。標準版は、Zwiftの説明どおり「ペダリング効率と心肺の持久力」に向けた持久系のメニューとして使うのが合っています。
まとめ
- The Kitchen Sinkの「kitchen sink」は「何でも入り」の意味。Zwiftで使える同じ名前のワークアウトは少なくとも3つある
- Zwift標準版は55分・ストレスポイント54。110rpm・85%FTPの高回転ドリルと、100rpm・90%FTPの4分×2本が中心
- TRI247版(1時間4分)はSSTから無酸素まで全部入り、GC Coaching版(2時間)はZ2の中にFTPと短い高強度を入れた週末向け
- 平日は55分か64分、週末は2時間と、使える時間と狙いで選ぶ
ほかのワークアウトはZwiftおすすめワークアウト12選やZwiftワークアウト解説まとめからどうぞ。
情報は確認日時点(2026年10月12日)のものです。Zwiftのワークアウト内容や収録先はアップデートで変わることがあります。
