SST (Short)とは?Zwiftの50分スイートスポット走を数字で解説|96%/89%交互の意味

SST (Short)とは?96%と89%を5分ごとに交互に4回、40分続くスイートスポット走の構成図

ZwiftのSST (Short)は、FTP(1時間ほど続けられる上限の目安のパワー)の96%と89%を5分ごとに入れ替えながら、40分間休まずに走る50分のワークアウトです。Zwift公式ブログは難しさを5段階中3.5とし、「40分間ずっと不快な状態が続くので、精神的な強さも鍛えられる」と紹介しています。

この記事は、よくある「効果」の説明より先に、数字で中身を確かめることにしました。編集部で構成を1秒ごとの強さの並び(3,000秒分)に直して計算し、「96%と89%を交互にするのは、92.5%で一定に走るのと何が違うのか」「2x15 FTP Intervalsと比べてどのくらい楽なのか」を出しています。SSTそのものの考え方はSSTとは?スイートスポットの効果と実践法で解説しています。

この記事の要点

  • 構成はウォームアップ5分 → (96%×5分+89%×5分)×4 → クールダウン5分の50分
  • 編集部の計算では平均87%FTP、NP89%FTP、TSS約66(What's on Zwift?のStress points 66と同じ)
  • 92.5%で40分一定に走っても、NPとTSSはほぼ同じ。交互にする意味は負荷の量ではなく、5分ごとの変化にある
  • 40分の本番は時間では全体の80%、仕事量では85%
  • Zwift公式は、SSTを含む第2段階のワークアウトを「定期的に繰り返せる」としている(閾値の第3段階は週2回まで)

SST (Short)の構成

構成はWhat's on Zwift?(Zwiftのワークアウトの構成をまとめているサイト)の掲載内容です。Zwift公式ブログの説明(40分を5分ごとに交互、88〜96%)とも合っています。公式ブログは下側を「88%」と書き、What's on Zwift?の構成は「89%」です。この記事の計算は89%で行いました。

区間時間強さ(%FTP)
ウォームアップ5分40%→85%(少しずつ上がる)
本番 1〜4セット目各10分(計40分)96%×5分 → 89%×5分
クールダウン5分75%→55%(少しずつ下がる)
合計50分
表1 SST (Short)の構成。出典:What's on Zwift?、Zwift公式ブログ
SST (Short)の構成図。5分のウォームアップ(40→85%)、96%と89%を5分ずつ交互に4回で40分、5分のクールダウン(75→55%)。合計50分
図1 SST (Short)の構成(出典の構成をもとに編集部作図)

本番の間に回復の区間はありません。ウォームアップも5分と短く、5分たつと85%まで上がった流れのまま、すぐ96%に入ります。Zwiftでは、ワークアウトの画面で「Less than 60 minutes to burn」にチェックを入れると、30〜60分のワークアウトの中から探せる、と公式ブログが案内しています。

FTP別のワット早見表

ERGモード(トレーナーが目標のワットに負荷を合わせるモード)なら数字はZwiftが合わせますが、ERGを使わないときや、目安を知っておきたいときのために、編集部でFTP別に計算しました(小数点以下は四捨五入)。

FTP96%(5分)89%(5分)ウォームアップクールダウン50分の仕事量
150W144W134W60→128W112→82W約390kJ
200W192W178W80→170W150→110W約520kJ
250W240W223W100→213W188→138W約651kJ
300W288W267W120→255W225→165W約781kJ
表2 FTP別の目標ワット(編集部計算)。仕事量は1秒ごとの目標ワットの合計で、kJはおよそ食事のkcalに近い値として使われることが多い
89%と96%の差は、FTP 200Wで14W、250Wで17Wです。数字だけ見ると小さな差ですが、ずっと閾値の近くにいるので、96%の5分は思ったよりきつく感じやすいところです。

編集部で計算:交互にする意味はどこにあるか

本番40分の平均は(96+89)÷2=92.5%です。では、92.5%で40分一定に走るのと比べて、負荷の数字は違うのでしょうか。1秒ごとの並びからNP(30秒移動平均の4乗平均の4乗根)とTSS(強さと時間から出す練習の負荷)を計算し、2x15 FTP Intervalsとも並べました。

ワークアウト時間平均NPTSS
SST (Short)(96%/89%交互)50分86.8%89.2%66.3
仮に本番を92.5%一定にした場合50分86.8%89.0%66.1
2x15 FTP Intervals55分82%88%約72
表3 編集部計算。2x15 FTP Intervalsの数字は2x15 FTP Intervalsの記事で同じ方法で出したもの
平均・NP・TSSの比較。SST (Short)は平均87%・NP89%・TSS66、92.5%で40分一定にした場合も87%・89%・66、2x15 FTP Intervalsは82%・88%・72
図2 平均・NP・TSSの比較(編集部計算)

結果は、交互でも一定でも、NPとTSSの差は0.2〜0.3しかないというものでした。5分ずつの小さな上下では、負荷の数字はほとんど変わりません。つまりSST (Short)が交互の形になっているのは、「練習の量を増やすため」ではなく、5分ごとに区切りと変化をつけて40分を走り切りやすくするためと考えるのが自然です(この解釈は編集部のもので、Zwiftが理由を説明しているわけではありません)。

ゾーンで見ると、本番の半分はZ3

もう1つ、計算してわかったことがあります。Zwiftのゾーン分け(Z3は76〜90%、Z4は91〜105%)で数えると、89%の20分はZ3、96%の20分はZ4に入ります。What's on Zwift?のゾーンの内訳(Z1 3分、Z2 6分、Z3 21分、Z4 20分)も、編集部の計算と同じでした。

「スイートスポット」は一般に88〜94%あたりを指すので、89%は範囲の中、96%は少し上です。つまりSST (Short)は、スイートスポットの範囲を少し上下にはみ出しながら、平均でその真ん中を通るワークアウトといえます。ゾーンの決め方はパワーゾーン・心拍ゾーン一覧にまとめています。

区分時間(分)全体に占める割合
Z1(60%未満)3.57%
Z2(60〜75%)5.511%
Z3(76〜90%)21.042%
Z4(91〜105%)20.040%
表4 ゾーン別の時間(編集部計算。ウォームアップとクールダウンは直線的に変わるものとして1秒ごとに数えた)

ほかのワークアウトとの使い分け

Zwift公式ブログは、30〜60分のワークアウトを4段のピラミッドに分けています。SST (Short)は第2段階(Strength:中くらいの強さで筋持久力を上げる)で、公式は第1・第2段階を「定期的に繰り返せるもの」、第3段階(閾値)は「週2回まで」としています。RIDE-GATEで解説している近いワークアウトと並べると、次のとおりです。

ワークアウト時間公式の段階・難しさ中身向いている日
Jon's Mix54分第1段階・2/5短い強めの区間のあと一定の持久走楽に量を積みたい日
SST (Short)50分第2段階・3.5/596%/89%を5分ごとに40分時間が1時間ない平日のメイン
2x15 FTP Intervals55分第3段階・3.5/5100%×15分を2本閾値をしっかり入れたい日(週2回まで)
表5 公式ブログの段階と難しさをもとに編集部が整理。「向いている日」は編集部の提案

同じ3.5/5でも、2x15は100%で15分、SST (Short)は最高96%で、休みなしの40分と、きつさの種類が違います。強さの上限が低いぶん、SST (Short)のほうが回数を重ねやすいメニューです。90%FTPで36分走るHalvfemsも近い強さですが、こちらは回転数の指示がある点が違います。目的別にほかのメニューを探すならZwiftおすすめワークアウト12選も参考にしてください。

走る前と走っている間の確認リスト

公式の説明と計算の結果から、編集部で確認リストにしました。

  • ☐ ZwiftのFTPが今の力に合っている(古いと96%が強すぎたり弱すぎたりする。FTPテストの方法)
  • ☐ ウォームアップが5分と短いので、足りないと感じる人は前にフリーライドで数分回しておく
  • ☐ 96%に入るときは、ERGがワットを上げてくるのでケイデンスを落とさない(回転数の目安はケイデンスの記事)
  • ☐ 「あと何セットか」で数える:40分=10分のセットが4つ。1セット目が終わった時点で4分の1
  • ☐ 96%の5分が続かないときは、無理に止めるより強さを数%下げて走り切る(Zwiftのワークアウトは画面上で強さの%を変えられる)
  • ☐ きつさの記録を残すなら、走った後にRPE(主観的運動強度)をメモしておくと、次回と比べやすい
SST (Short)には回復の区間がありません。体調が悪い日や寝不足の日は、無理に走らずZ2の持久走に替えるなど、調子に合わせて決めてください。

よくある質問

Q. SST (Short)は週に何回まで走っていい?

A. Zwift公式ブログは、SSTを含む第2段階までのワークアウトを「定期的に繰り返せる」と書き、回数の上限は示していません。What's on Zwift?に載っているワークアウトの説明文にも「好きなだけ走ってよい」とあります。ただし疲れがたまれば質は落ちるので、閾値やVO2maxのメニューと同じ週に入れるときは、合計のきつさで考えてください。

Q. 公式ブログの「88%」と、構成の「89%」はどちらが正しい?

A. 公式ブログは文章での紹介で「88〜96%」、What's on Zwift?の構成は89%です。編集部で88%に置き換えて計算しても、TSSは約66のままで、差は1W〜数W程度です。実際の値はZwiftのワークアウトの画面で確かめてください。

Q. SST (Med)との違いは?

A. SST (Med)は1時間25分で、5分95%→5分86%を3回の30分を2本行う、より長いメニューです(What's on Zwift?のStress pointsは104)。50分で終えたい日はShort、時間がある日はMed、と使い分けられます。

まとめ

SST (Short)は、96%と89%を5分ごとに入れ替えて40分走る50分のワークアウトです。編集部の計算では、TSSは約66で、92.5%で一定に走る場合とほぼ同じでした。交互の形は負荷の量を増やすためではなく、40分を区切って走り切るための工夫と考えられます。1時間ない日でもしっかり練習したいときの、定番のメニューです。

情報は確認日時点(2026年11月5日)のものです。ワークアウトの構成はZwiftの更新で変わることがあります。走る前にZwiftの画面で内容を確かめてください。
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