VO2maxインターバルはどれが効く?30/15・30/30・40/20・5分インターバルを研究で比較

VO2maxインターバル比較|30秒/15秒×13本×3セットと5分×4本の構成を並べたアイキャッチ トレーニング理論

FTPの伸びが止まってきて、「そろそろVO2maxインターバルを入れたい」と考えている方は多いはずです。ところが、30秒/15秒、30秒/30秒、40秒/20秒、4〜5分のインターバルなど、メニューがたくさんあって「結局どれが効くの?」と迷ってしまいます。

この記事では、自転車選手を対象にした研究を中心に、短いインターバル(30/15)と長いインターバル(5分)を比べた研究で何がわかっているのかを、論文の内容に沿って整理します。そのうえで、Zwiftなどの室内トレーニングでの取り入れ方と注意点を解説します。

結論:30/15は研究の裏付けが厚い。ただし「どれでも全力でやれば大差ない」可能性も

  • ノルウェーのRønnestadらの研究グループは、トレーニングを積んだ自転車選手を対象に、30秒/15秒の短いインターバルと5分の長いインターバルを何度か比較しています。10週間、3週間、1週間の集中ブロックのいずれでも、いくつかの指標で短いインターバルのほうが大きく改善しました。
  • 一方、2025年の研究では、強度を固定した場合は30/15のほうが「VO2maxの90%以上の時間」が長かったものの、各自が全力でペースを決めた場合には、30/15と5分インターバルで差がありませんでした。
  • 30/30は、ランナーを対象にしたBillatらの研究がよく知られていますが、自転車選手で30/15や5分インターバルと直接比べた研究は、今回の調査では見つかりませんでした。40/20についても、同様の比較研究は見つかりませんでした。
  • どの研究も、対象はトレーニングを積んだ少人数の選手です。週に何回、どのくらいの量をやるかは、自分の疲労や練習全体のバランスを見て決める必要があります。

VO2maxとインターバルの基本

VO2maxとは

VO2max(最大酸素摂取量)は、運動中に体が取り込んで使える酸素の最大量で、持久力の「上限」を決める指標の一つです。FTPがその上限の何%で走り続けられるかを表すのに対し、VO2maxは上限そのものの大きさを表す、とイメージするとわかりやすいでしょう。

なぜ「90%VO2max以上の時間」が注目されるのか

高強度インターバルに関する代表的な総説(Buchheit & Laursen, 2013)では、心肺機能と末梢の適応を最大限に引き出すには、1回の練習でVO2maxの90%以上に達している時間(いわゆる「レッドゾーン」)を数分以上確保することが望ましいと考えられている、と述べられています。そのため、インターバルのメニューどうしを比べるときに、この「90%VO2max以上の時間」がよく使われます。

同じ総説では、インターバルの設計には、運動と休息の強度・時間、本数、セット数、セット間の休息など最大9つの要素があり、そのどれを変えても体の反応が変わるとしています。「30/15か5分か」という比較も、これらの条件をどうそろえたかによって結果が変わりうる点を覚えておきましょう。

研究で比べられているメニュー

研究対象比較したメニュー期間主な結果
Rønnestad et al. 2015(Scand J Med Sci Sports)トレーニングを積んだ自転車選手(計16名:短9名・長7名)努力度をそろえた短いインターバル vs 長いインターバル(週2回、低強度練習と組み合わせ)10週間VO2maxの改善率は短いインターバル8.7%、長いインターバル2.6%。30秒・5分・40分の全力テストでも、短いインターバルのほうに中〜大の効果量
Rønnestad et al. 2020(Scand J Med Sci Sports)エリート自転車選手(各群9名、VO2max 73mL/kg/分)30秒/15秒×13本×3セット vs 5分×4本(休息2.5分)。主観的な努力度をそろえて実施3週間(週3回・計9回)短いインターバルのほうが最大有酸素パワー、乳酸4mmol/L時のパワー、20分テストの平均パワーが大きく改善。VO2maxの変化には差なし
Rønnestad et al. 2021(Int J Sports Physiol Perform)トレーニングを積んだ自転車選手(短9名・長8名)30秒/15秒×12本×5セット vs 5分×6本(休息2.5分)を1週間に5回行う集中ブロック1週間+その後6日間短いインターバルのほうがVO2max(差5.7%)と乳酸4mmol/L時のパワー(差3.8%)が大きく改善
Appelhans et al. 2025(Int J Sports Physiol Perform)トレーニングを積んだ自転車選手・トライアスリート12名30秒/15秒×13本×3セット vs 5分×6本。強度固定と、全力の自己ペースの2条件1回ずつの比較強度固定では30/15のほうが90%VO2max以上の時間が長い。全力の自己ペースでは差なし
短いインターバルと長いインターバルを比較した主な研究
Rønnestadら(2020年)の比較研究で使われたインターバルの時間構成図。短いインターバルは30秒/15秒×13本×3セット(セット間3分)、長いインターバルは5分×4本(休息2.5分)

2015年の研究の具体的な本数・セット構成は要旨に記載がないため、表では「短いインターバル」「長いインターバル」とだけ記載しています。

なぜ30/15が有利になりやすいのか

エリート選手8名を対象にした別の研究(Almquist et al. 2020)では、時間と努力度をそろえて30秒インターバルと5分インターバルを比べたところ、30秒インターバルのほうが平均パワーが約14%高く(421W vs 371W)、90%VO2max以上の時間も長くなりました。主観的なきつさや血中乳酸は同程度でした。短い休息をはさむことで、同じきつさでもより高いパワーを、より長く出し続けられることが、30/15の強みと考えられます。

短いインターバルと長いインターバルを比べた棒グラフ。Rønnestadら(2015年)ではVO2max改善率が短いインターバル8.7%、長いインターバル2.6%。Almquistら(2020年)では平均パワーが30秒インターバル421W、5分インターバル371W

ただし、前述のAppelhansらの研究では、各自が全力でペースを決めると、5分インターバルでも強度が上がり、90%VO2max以上の時間の差はなくなりました。「どのメニューか」と同じくらい、「どれだけの強度でやり切るか」が重要だと言えます。

各メニューの特徴

メニュー構成の例研究での位置づけ向いている人・場面
30/1530秒オン/15秒オフを12〜13本、セット間3分、3〜5セット(研究のプロトコル)自転車選手で複数の比較研究ありVO2max向上を狙う中〜上級者。短い休息で高いパワーを積み重ねたい人
30/3030秒オン/30秒オフランナーの研究(Billat et al. 2000)で、一定ペースの高強度走よりVO2max付近の時間が長かった。自転車での直接比較研究は今回見つからず30/15よりも休息を長めにとりたい人、高強度インターバルに慣れていない人
40/2040秒オン/20秒オフ今回の調査では、自転車での比較研究は見つからず30/15と5分の中間的な刺激を試したい人(効果は研究で確かめられていない点に注意)
4〜5分インターバル5分×4〜6本、休息2.5分(研究のプロトコル)上記の研究で30/15の比較対象として使われた一定ペースで粘る力も鍛えたい人。全力の自己ペースなら30/15と同程度のVO2max滞在時間になりうる
VO2maxインターバルの代表的なメニュー

Billatらの研究は、陸上の長距離ランナー8名を対象に、vVO2max(VO2maxに達する走速度)の100%と50%を30秒ずつ交互に繰り返す走りと、一定ペースの高強度走を比べたものです。VO2max付近にいた時間は、30-30のほうが長い結果でした(7分51秒 vs 2分42秒)。ただし、休息区間も「完全休息」ではなく50%の速度で走っている点、長期的な効果は調べていない点に注意が必要です。

実践:Zwiftや室内トレーニングでの取り入れ方

強度の決め方

紹介した研究の多くは、ワット数を細かく指定するのではなく、「努力度(主観的なきつさ)をそろえる」「全力で最後までやり切れるペース」で行っています。つまり、決められたセットを最後まで、できるだけ高い平均パワーでやり切ることが基本です。1本目から飛ばしすぎて後半に大きく失速するより、最後の数本でもほぼ同じパワーを出せるペースを探しましょう。主観的なきつさの目安は、RPE(主観的運動強度)の記事も参考にしてください。

量の決め方(編集部の提案)

研究のプロトコル(30/15を13本×3セットなど)は、トレーニングを積んだ選手向けの量です。初めて取り入れる場合は、たとえば30/15を10本×2セット(セット間3分)程度から始め、やり切れるようになったら本数やセット数を増やしていく方法が考えられます。この入門的な量は、研究で効果を確かめたものではなく、編集部の提案です。

頻度と組み合わせ

研究では、10週間で週2回(低強度の練習と組み合わせ)、3週間で週3回、1週間に5回の集中ブロック、といった頻度が使われました。週5回の集中ブロックはトレーニングを積んだ選手向けの特殊な方法なので、社会人ライダーがいきなり真似するのはおすすめしません。高強度の日以外は低強度でつなぐ考え方は、ポラライズド・トレーニングの記事や、高強度の直後にZ2を入れる方法の記事も参考になります。

ERGモードは使う?

30秒・15秒のように切り替えが速いメニューでは、ERGモードの負荷変化を「遅れる」と感じる場合があります。その場合は、ERGをオフにして自分でギアとケイデンスでパワーを合わせる方法もあります。Zwiftでは、ワークアウト開始後にアクションバーからERGのオン・オフを切り替えられます(Zwift公式サポート)。

ZwiftのVO2max系ワークアウト

Zwiftには、VO2maxを狙った既成のワークアウトもあります。RIDE-GATEでは、RattlesnakeやThe Wringerの内容と狙いを解説しています。30/15を自分で作りたい場合は、Zwiftのカスタムワークアウト機能で作成できます。

注意点

  • 研究の対象は限られている:紹介した研究は、トレーニングを積んだ(またはエリートの)選手を対象にした、各群10名前後の小規模な研究です。初心者や中高年のホビーライダーに同じ結果が当てはまるとは限りません。
  • 「効く順位」は確定していない:短いインターバルが有利だった研究がある一方で、全力の自己ペースでは差がないという結果もあります。1つのメニューにこだわりすぎず、続けやすいものを選ぶことも大切です。
  • 体調管理:VO2maxインターバルは心肺への負担が大きい練習です。体調が悪いとき、疲労が抜けていないときは無理をしないでください。持病のある方や運動習慣のない方は、事前に医師に相談しましょう。
  • 入れすぎに注意:高強度の練習ばかりが続くと、回復が追いつかなくなります。週全体の強度配分を考えて取り入れましょう。

よくある質問(Q&A)

Q. 30/15と30/30、初心者はどちらから始めるべき?

A. 2つを自転車で直接比べた研究は見つからなかったため、研究にもとづく答えは出せません。休息が長い30/30のほうが1本ごとの回復はしやすいので、高強度インターバルに慣れていない人は30/30から試し、慣れてきたら30/15に移る、という進め方も一案です。

Q. 5分インターバルはもうやらなくていいですか?

A. そうとは言えません。2025年の研究では、全力の自己ペースで行えば、5分インターバルでも30/15と同程度の時間をVO2maxの90%以上で過ごせました。一定のペースで長く粘る力を鍛えたい場合や、気分を変えたいときには、5分インターバルも有効な選択肢です。

Q. 週に何回やればいいですか?

A. 研究では週2〜3回が使われていましたが、これはトレーニングを積んだ選手の例です。社会人ライダーなら、まずは週1回から始め、疲労の様子を見ながら調整するのが無難です。

Q. 40/20は効果がないのですか?

A. 効果がないという意味ではありません。今回の調査では、自転車選手で40/20を他のメニューと比較した研究が見つからなかった、ということです。取り入れる場合は、効果の大きさが研究で確かめられていないことを理解したうえで試してください。

まとめ

自転車選手を対象にした研究では、30秒/15秒の短いインターバルが、5分インターバルよりも一部の指標で大きく改善したという結果が複数あります。一方で、全力の自己ペースで行えば、5分インターバルでもVO2max付近にいる時間に差がなかったという研究もあります。30/30や40/20については、自転車での比較研究は見つかりませんでした。

まずは30/15のような研究の裏付けがあるメニューを、無理のない量から取り入れ、「最後までやり切れる最も高いペース」を探してみてください。メニューの種類以上に、その日の強度と、練習全体の回復とのバランスが結果を左右します。

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