高強度の直後にZ2を入れると強くなる理由|レース後半の粘りが変わる実践メソッド4選

高強度の直後にZ2を入れると 強くなる理由 トレーニング理論

高強度ワークアウトやZwiftレースの直後にZ2を入れると、持久力とレース後半の粘りが大幅に向上します。これは“時短テクニック”ではなく、一定の時間を確保できるサイクリスト向けの本格的なトレーニング方法です。

高強度で脚と心肺を刺激した直後にZ2へ入ることで、ミトコンドリアの働きが活性化し、乳酸クリアランス能力が高まり、長時間の安定したパワー維持が可能になります。

「ワークアウトは頑張っているのに後半タレてしまう」「FTPは上がってきたのにレース終盤が弱い」そんな悩みを持つ中級〜上級者に最適なアプローチです。本記事では、この手法が強くなる理由、向いているタイプ、注意点、そして具体的な実践メニュー5選を詳しく解説します。

高強度直後にZ2を入れると強くなる仕組み

① 疲労した状態は有酸素能力を伸ばす“最適な刺激”になる

高強度(VO2MAX・レース強度)を終えた直後は、酸素摂取量が高い状態のまま推移します。このタイミングでZ2へ入ると、通常のZ2よりも高い生理刺激が得られます。

  • VO2の立ち上がりが早い
  • 有酸素能力が活性化しやすい
  • 心拍ドリフトが起こり、ミトコンドリア刺激が強まる

つまり「疲れた状態でのZ2」は、同じ時間でも伸び方がまったく違う“伸びるZ2”になります。

② 乳酸クリアランス能力が強化される

高強度の直後は血中乳酸濃度が高く、Z2で回すことで乳酸を再利用する能力(乳酸クリアランス)が鍛えられます。これは実走後半の粘りに直結します。

  • アタック後の巡航
  • ヒルクライム後半の粘り
  • Zwiftレースの踏み直し

③ ミトコンドリア刺激が最大化される

ミトコンドリアは持久力の源であり、高強度→Z2の組み合わせはその増殖シグナル(AMPK・PGC-1α)を強く刺激します。

④ 実走の“後半力”をそのまま再現できる

レース終盤に求められるのは「キツい区間を越えてからの巡航力」。高強度直後のZ2はこれを忠実に再現できる数少ないトレーニングです。

どんな人に向いている?

  • 90〜120分の練習時間を確保できる中級〜上級者
  • ロングライドやレース後半に弱い人
  • FTPだけではなくレース力を伸ばしたい人
  • Zwiftレース後のパワー低下を改善したい人

向かないケース

  • 初心者
  • 疲労が抜けていない週
  • 睡眠不足・体調不良の日

メリット

① レース後半の踏み直し耐性が強くなる

高強度→Z2は、一度キツい区間を越えてから巡航する力を育てる最適な方法です。

② CTL(体力)を上げながら質も維持できる

高強度で“質”、Z2で“量”を足せるため、負荷管理がしやすく伸びやすい組み合わせです。

③ 有酸素基盤が強化される

ミトコンドリア増殖・心肺持久力が同時に刺激されます。

④ フォーム維持力が上がる

疲労した状態で丁寧にZ2を踏むことで、フォームの崩れを抑える練習にもなります。

⑤ データでも効果が見えやすい

  • Z2での心拍の落ち着き
  • 心拍ドリフトの低下
  • TSB・CTLの改善

注意点

① Z2の強度が高すぎると逆効果

Z2はFTP55〜70%を厳守。Z3に入ると疲労だけが溜まります。

② 高強度部分の質を落とさない

このメソッドは「高強度 × Z2」が揃って初めて成立します。高強度を手抜きするとただの長距離走になります。

③ 補給不足は失敗の原因

高強度→Z2は糖質消費が大きいため、補給を挟むことが必須です。

④ 心拍の異常は注意サイン

  • 心拍が高すぎる=疲労
  • 心拍が上がらない=過負荷 or 体調不良

実践トレーニング方法5選

① VO2MAXインターバル → Z2(30〜90分)

心肺刺激×持久力の両方を狙える王道メニュー。
※VO2MAX後は酸素摂取が高い状態が続くため、短時間でもZ2の刺激が入りやすく30分から効果があります。余裕がある日は持久力向上を狙って60〜90分へ延ばすのも有効です。

  • The Gorby
  • 3〜5分・110〜120%FTP インターバル
  • 3〜5分の登りインターバル後にZ2巡航

② Zwiftレース or 実走の高強度区間 → Z2(30〜90分)

レース後の“疲労のピーク”でZ2を踏む最も実戦的な組み合わせ。


Zwiftレース → 30〜60分Z2

③ ヒルクライムインターバル → Z2

  • 8〜10分×3〜4本(100〜110%FTP)
  • 登った後の下り〜平坦でZ2巡航
  • Alpe du Zwift / Ven-Top など中長時間の登り→登頂後はトレーナー難易度を0にし、斜度の影響を切ってZ2で“下る”

④ スプリント or 無酸素刺激 → Z2ロング

短時間高出力 → 巡航の再現性が最も高い組み合わせ。レース後半力を劇的に改善します。

  • 10〜12秒スプリント×6〜10本
  • The Wringer → Z2

まとめ

高強度後のZ2は、時間に余裕があるライダー向けの高度なトレーニング手法です。レース後半の粘りFTP向上持久力強化CTLの底上げまで総合的に効果があります。

まずは高強度後に30分Z2を追加するところからスタートし、慣れてきたら60〜90分へ伸ばすと確実に成長を実感できます。

参考・出典

本記事のトレーニング理論および高強度直後のZ2の考え方は、以下の論文・記事の内容を参考に構成しています。

参考文献

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