ヤビツ峠(表ヤビツ)の距離・勾配・登坂時間|標高データで計算した区間ごとの勾配と走る前の確認事項
この記事の目次
ヤビツ峠は、神奈川県秦野市の県道70号(秦野清川線)にある峠で、秦野側の名古木(ながぬき)交差点から登るルートは「表ヤビツ」と呼ばれます。この記事では、表ヤビツの距離・標高差・勾配を国土地理院の標高データから編集部で計算し直し、区間ごとの勾配、パワーウェイトレシオ(W/kg)別の登坂時間の試算、走る前に確認したい公式情報(通行規制・トイレ・バス)をまとめます。
数字はすべて計算方法とあわせて示します。タイムは実際の走行記録ではなく、物理式による計算値です。
結論:表ヤビツは「11.7km・標高差約658m・平均5.6%」
| 項目 | 値(編集部の計算) |
|---|---|
| 区間 | 名古木交差点(国道246号との交差点)→ヤビツ峠 |
| 距離 | 約11.7km |
| 標高(起点→峠) | 約102m → 約759m |
| 標高差 | 約658m |
| 平均勾配 | 約5.6% |
| きつい1km | 3〜4km目 7.5%、9〜10km目 7.3% |
| 最もきつい500m | 約10.0%(3.85km地点付近から) |
| ゆるい区間 | 1〜3km目(2.7〜3.2%) |

数字の出し方(編集部の計算方法)
- 経路:県道70号を名古木交差点からヤビツ峠バス停付近まで。道路データはOpenStreetMapの経路検索で取得
- 標高:経路上を50mごとに区切った236点について、国土地理院の標高APIで標高を取得(データは1mメッシュ・航空レーザ測量)
- 勾配:前後3点の中央値でならしてから、1kmごとに「標高差÷距離」で計算
- 標高差は終点と起点の差。下りがほぼないため、累積の獲得標高もほぼ同じ(約658m)
地図データや計算の区切り方で、距離や勾配は少し変わります。サイクルコンピューターの表示と数%ずれることがあるのはこのためです。
区間ごとの勾配と考え方
| 区間 | 距離の目安 | 平均勾配 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 名古木交差点〜3km | 0〜3km | 2.7〜4.7% | 市街地から里山へ。勾配がゆるく、信号や交差点もある |
| 3km〜蓑毛 | 3〜4.1km | 約7.5% | 表ヤビツで最初の急な区間。最もきつい500m(約10%)もここ |
| 蓑毛〜菜の花台 | 4.1〜8.5km | 5.3〜6.8% | 山道に入り、6%前後の登りが長く続く |
| 菜の花台〜ヤビツ峠 | 8.5〜11.7km | 5.0〜7.3% | 9〜10km目が後半で一番きつい。最後の約1.7kmはやや緩む |
前半はゆるく、蓑毛の手前で急になる
最初の3kmは平均3%前後で、ペースが上がりやすい区間です。3km付近から勾配が7%台に上がり、3.85km地点付近からの500mは計算上約10%になります。前半で余裕があっても、ここで踏みすぎると後半に響きます。
中盤以降は「6%前後が長い」
蓑毛(約293m)から先は、5〜7%の登りが峠まで約7.6km続きます。極端な激坂はない一方、平坦で脚を休められる区間はほとんどありません。ペースは最初から「最後まで同じ強さで続けられる」くらいに抑えるのが基本です。強度の考え方はFTPの解説も参考にしてください。
パワーウェイトレシオ別・登坂時間の試算
一定のパワーで登り続けた場合の時間を、上で求めた50mごとの勾配から計算しました。

| W/kg | パワー(体重65kg) | 登坂時間 | 平均速度 | VAM(1時間あたりの上昇量) |
|---|---|---|---|---|
| 1.5W/kg | 98W | 約95分 | 7.4km/h | 414m/h |
| 2.0W/kg | 130W | 約73分 | 9.6km/h | 541m/h |
| 2.5W/kg | 162W | 約60分 | 11.8km/h | 661m/h |
| 3.0W/kg | 195W | 約51分 | 13.8km/h | 776m/h |
| 3.5W/kg | 228W | 約45分 | 15.8km/h | 885m/h |
| 4.0W/kg | 260W | 約40分 | 17.6km/h | 988m/h |
| 4.5W/kg | 292W | 約36分 | 19.4km/h | 1086m/h |
| 5.0W/kg | 325W | 約33分 | 21.0km/h | 1178m/h |
計算に使った式と前提
自転車を進めるのに必要なパワーは、次の式で表せます。50mごとに、この式が指定のパワーと等しくなる速度 v を求め、区間ごとの時間を足し合わせました。
P ×(1 − 駆動損失)= m・g・(Crr・cosθ + sinθ)・v + ½・ρ・CdA・v³
- m(総重量)=74kg(体重65kg+車体と装備9kg)、g=9.81m/s²
- Crr(転がり抵抗係数)=0.005、CdA(空気抵抗面積)=0.40㎡、ρ(空気密度)=1.15kg/㎥、駆動損失3%
- 風・信号待ち・路面・気温の影響は入れていない
体重が変わってもW/kgが同じなら、時間は大きくは変わりません(空気抵抗の分だけ差が出ます)。自分のW/kgは、FTPテストで測ったFTPを体重で割ると出せます。登りのペース練習にはSSTが使えます。
走る前に確認したい公式情報
通行規制
県道70号は大雨などで通行止めになることがあります。2026年9月には、降雨の影響で蓑毛バス停付近から清川村境までの区間が通行止めになり、解除されたことを秦野市が知らせています。清川村側(宮ヶ瀬方面)は、神奈川県厚木土木事務所が雨量による通行規制の基準(札掛観測所で時間雨量20mm・連続雨量100mmで通行止めなど)を公表しています。出かける前に、秦野市の「国道・県道の通行規制情報」や日本道路交通情報センター(JARTIC)で最新の情報を確認してください。
トイレ・駐車場
秦野市は、登山者向けに「秦野駅」「蓑毛バス停」「菜の花台」「ヤビツ峠」の公衆トイレを案内しています。山のトイレは維持費がかかるため、秦野市はチップ100円の協力を呼びかけています。不具合や一時閉鎖のお知らせが出ることもあるので、秦野市のページで確認しておくと安心です。
神奈川県(自然環境保全センター)が管理する無料駐車場として、ヤビツ峠駐車場(24台)と菜の花台駐車場(23台)があります。台数が少ないため、行楽シーズンは混みやすいと考えておきましょう。
バス
神奈川中央交通の「秦21」系統が、秦野駅から名古木・蓑毛を通ってヤビツ峠まで運行しています。本数が少なく、秦野市も「1時間に1本未満」と注意を呼びかけています。同じ道をバスが通るので、すれ違いや追い越しには特に注意が必要です。
補給
登りの途中で確実に飲み物や食べ物を買える場所は、編集部では確認できていません。スタート前に、峠まで足りる量の水と補給食を持っておくのが確実です。
安全とマナー
警察庁の「自転車安全利用五則」は、①車道が原則、左側を通行(歩道は例外、歩行者を優先)、②交差点では信号と一時停止を守って安全確認、③夜間はライトを点灯、④飲酒運転は禁止、⑤ヘルメットを着用、の5つです。2026年4月1日からは、自転車の一定の交通違反に反則金を科す制度(いわゆる青切符)も始まっています。
- 道幅が狭いところがあり、路線バスや車と同じ道を使う。並んで走らず、一列で左側を走る
- 下りは登りよりスピードが出る。カーブの手前で十分に減速し、センターラインをはみ出さない
- 山の上は市街地より気温が低くなる。下りで体が冷えないよう、ウインドブレーカーなどを持っていく
- 日が短い時期は、帰りが暗くなる前に下りられる時間に出発する。ライトは前後とも付ける
- 駐車場やバス停の前で集まって道をふさがない
こんな人におすすめ・練習の目安
表ヤビツは、勾配がゆるい前半と、6%前後が長く続く後半を持つ、ペース配分の練習に向いた峠です。初めての人は時間を気にせず、話せるくらいの強さで登り切ることを目標にすると無理がありません。試算では2.0W/kgで約73分、3.0W/kgで約51分です。ロードバイクを始めたばかりの人は、初心者の基本ガイドから読むと、準備の全体がつかめます。
RIDE-GATE編集部
参考資料
- 国土地理院「標高API」
- 秦野市「登山」「ハイキングにお越しの皆様へ」「国道・県道の通行規制情報」
- 神奈川県「異常気象時等における通行規制情報について」「自然公園歩道情報」
- 神奈川中央交通「秦21 秦野駅〜蓑毛〜ヤビツ峠」時刻表
- 警察庁「自転車の安全利用の促進」
